病気になった場合に支給される「傷病手当金」

 

誰もが健康でいたいけれど、いつ何時ケガや病気になるかわかりません(撮影:梅谷秀司)

先日、大学時代のサークルの先輩と久しぶりに飲んだKさん(32歳、男性)。先輩(35歳、男性)は、現在都内のアパレル関係の会社で課長として働いています。

いつも元気な先輩ですが、なぜかその日は浮かない様子。実は、仲の良かった同僚のSさんが、メンタル不調で休みがちとのことでした。

「来たり来なかったりがずっと続いているんだよね。今週は1日も出社してなくて、来週も来ないと休職になるらしいけど、あいつおカネの面は大丈夫なのか」

自分が病気になった場合の「おカネ」の話

昔から面倒見のいい先輩は、同僚のおカネの面も心配の様子でしたが、Kさん自身は民間の医療保険に何も入っていないため、聞いているうちに自分が病気になった場合の「おカネ」の話がリアルに不安になってきたのでした。

誰もが健康でいたいけれど、いつ何時ケガや病気になるかわかりません。そこで今回は、会社員の方がケガや病気で会社を休むことになってしまった場合に、間違いなく頼りになる健康保険の「傷病手当金」について、知らないと損する5つのポイントを解説します。

1.「健康保険」からもらえます

会社員であればほとんどが加入している健康保険。健康保険はケガや病気で病院に掛かった際に、窓口負担を3割にしてくれる心強い医療保険ですが、実はそれ以外にも、出産、死亡に対する一時金や治療費が高額になった時に対する給付、そして、今回のように病気等で会社を休んでしまった場合の所得保障も行っています。

具体的には、ケガや病気で会社を休んでしまった場合は、「傷病手当金」がもらえます。傷病手当金の要件は、①業務外の病気やケガで療養のために休んでいること、②労務不能であること、③3日以上連続して休んでいること、④休んだ期間に対して無給であることです。ちなみに、労務不能であることを証明するために、医師から証明をもらう必要があるので、単に風邪等で休んでいた場合や医師から証明をもらえないレベルの病気等で休んでいるケースは、傷病手当金の対象とはなりません。

なお、傷病手当金は、あくまでも健康保険だけの給付であって、国民健康保険にはない制度です。そのため、会社員であってもパート等で労働時間が短く、健康保険に加入していない方は傷病手当金はもらえないのでご注意ください。

冒頭のKさんは、民間の医療保険に入っておらず「おカネ」の心配をされていましたが、会社員で健康保険に加入していれば、少なくとも傷病手当金はもらえるというわけです。

標準報酬日額の3分の2

2.傷病手当金はどのくらいもらえる?

気になる傷病手当金の金額ですが、傷病手当金は「1日につき標準報酬日額の3分の2」になります。この「標準報酬日額」とは、傷病手当金の支給を開始した日以前12カ月間の標準報酬月額いわゆる「ひょうげつ」の平均額を30で割って計算します。

ちなみにこの「ひょうげつ」とは、社会保険の事務処理を簡略するために考えられた仕組みで、給与をおよそ1万円から6万円の幅で区分した等級のこと。健康保険は、月額139万円が上限になっています。社会保険のあらゆる場面で使われる重要なキーワードで、自分の「ひょうげつ」がわかればいろいろな計算できます(なお、詳しくは過去記事「給与が減ったと思ったら「この表」を見よ!」をご覧ください)。

では、傷病手当金の金額を具体的に計算してみましょう。たとえば直近12カ月のひょうげつの平均が30万円の場合だと、標準報酬日額は、30万円÷30=1万円になるので、傷病手当金の1日の金額は、1万円×2/3≒6667円になります。したがって、1カ月休んだ場合は、6667円×30日=20万0010円が傷病手当金として健康保険組合等からもらえることになるのです。

ただし、給与が支給されている場合は傷病手当金が減額されるので注意が必要です。たとえば、標準報酬日額の3分の2の金額が6000円の場合で、欠勤した日について給与が1日2000円支給されているケースだと、1日につき、減額された4000円が傷病手当金として支給されることになるわけです。つまり、傷病手当金の金額は、1日につき標準報酬日額の3分の2を上限として、給与が支払われていれば差し引かれて支給されるということです。

なお、民間の医療保険から支給される分は、もちろん調整の対象とはなりませんのでご安心ください。

3.1年半の期間に注意

傷病手当金は、ケガや病気が治るまでずっともらえるわけではありません。もらい始めた日から1年半で終了になります。なお、1年半はもらえる日数分ではなく、あくまでも期間です。したがって、たとえば、病気で傷病手当金を2カ月受給し、復職後4カ月経過後に再発したようなケースでは、まだ、2カ月分しか傷病手当金をもらっていません。しかし、もらい始めたときからすでに6カ月を経過しているので、残り1年間しかもらえないというわけです。ただし、傷病手当金は、同一傷病ごとにカウントするため、病気やケガが異なればその都度そこから1年半もらえることになります。ただし、二重に受給することはできません。

ちなみに、会社が健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合が独自でもらえる期間を延長している場合もあります。

入社1年以内に傷病手当金をもらう場合

4.入社後すぐに病気になっても大丈夫?

傷病手当金は、健康保険に加入していた期間を要件としていません。そのため、たとえば入社後すぐに足を骨折し、入院してしまった場合でも対象になります。ただし、入社前から発症していたような病気の場合は、前職で加入していた健康保険組合等ですでに同一傷病で傷病手当金をもらっていなかったかどうか確認されます。そのため、すでに前職の健康保険組合等から同一傷病でもらっていた場合には、1年半を経過していればもらえず、経過していない場合はその残日数までしかもらえないことになるのです。

なお、入社1年以内に傷病手当金をもらう場合は、例外的に入社から支給開始日以前の「ひょうげつ」の平均と加入する健康保険組合等の被保険者の平均の「ひょうげつ」のいずれか低いほうを基に計算されます。たとえば、「ひょうげつ」が65万円の部長が入社後すぐに骨折して休んでしまった場合でも、加入している健康保険組合の「ひょうげつ」の平均が30万円であれば、あくまでも「ひょうげつ」は30万円として計算されてしまいますので、ご注意ください。

5.傷病手当金は、退職した後でももらえる

ケガや病気で会社を休んだときに、おカネの面で頼りになる傷病手当金ですが、実は会社を退職した後でも一定の要件を満たせば、そのまま傷病手当金をもらうこともできるのです。

具体的には、①退職日まで継続して1年以上被保険者であったこと、②退職日(資格喪失日の前日)に傷病手当金を受けている、または受ける条件を満たしていることになります。

ちょっと難しいですが、要は、健康保険に1年以上加入していた方が、傷病手当金を受給したまま退職したケースや会社を休んでいたものの年休や傷病休暇等で給与が支払われていたため、傷病手当金が不支給となっていたケースは、退職後も継続してもらえるというわけです。

ただし、注意が必要なのは、たとえば、退職日にあいさつも兼ねて出勤したようなケースです。なぜなら、退職日は休んでいないので、その日は傷病手当金の支給要件を満たしていないことになるため、退職後に継続して傷病手当金をもらうことができなくなるので、ご注意ください。

万が一のときに頼りになる傷病手当金。ぜひこの機にチェックしてみてください。

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