日本と欧州の大手特殊鋼メーカーを買収

 

新日鉄住金は15日、日本と欧州の大手特殊鋼メーカーを買収すると発表した。持ち分法適用の山陽特殊製鋼を子会社にし、スウェーデンのオバコも傘下に収める。経営統合から約5年半。鉄鋼市況低迷などで守りの経営を余儀なくされた国内素材産業の巨人に、ようやく攻めの姿勢が目立ってきた。激変の世界市場を勝ち抜けるのか。

記者会見する新日鉄住金の栄敏治副社長(右)と山陽特殊製鋼の樋口真哉社長(15日、東京都中央区)

「両社とも世界トップレベルの生産技術がある。3社で連携しながら技術を持ち寄り、事業基盤を強化していきたい」。15日、東京都内で記者会見した新日鉄住金の栄敏治副社長は日欧2社の買収の狙いをこう語った。

山陽特殊鋼には議決権ベースで15.3%を出資しており、これを2019年3月末をめどに51%以上に引き上げる。現在の株価を基準にすると、株式を追加取得する際の費用は単純計算で300億円程度になる。子会社化後も上場は維持する。

山陽特殊鋼は1960年代に経営が悪化し会社更生法の適用を申請、新日鉄住金の前身の富士製鉄が支援して再建にこぎつけた。山崎豊子氏の小説「華麗なる一族」のモデルにもなったとされる。

オバコは18年度上期に欧州の投資ファンドから全株式を取得。買収額は数百億円とみられる。買収する2社はそれぞれ欧州、アジアで自動車などに使う軸受け鋼のトップメーカーだ。電気自動車の普及などで車1台に使う鋼材の量は減るとの見方もあるが、新日鉄住金の宮本勝弘常務執行役員は「より高い技術力が求められるようになり(付加価値の高い製品の)ニーズは増す」と語る。

旧新日本製鉄と旧住友金属工業が12年10月に統合した当時は、世界2位の粗鋼生産量を誇るアジア最大の鉄鋼メーカーだった。中国勢の台頭で順位は4位に落ち、規模では太刀打ちできなくなった。統合前の2社の12年3月期業績を単純合算すると、伸び悩みは明らかだ。売上高は17年3月期にかけて17%減少、経常利益も14%減った。

16年2月には日新製鋼の子会社化を表明し成長にかじを切ったようにみえたが、優先したのは「社内融和」。市況低迷が続き「思いきった投資はやりづらい環境だった」(新日鉄住金幹部)。やっと明るさが見えてきたのが1年半ほど前。中国勢が国家主導で生産設備の廃棄を本格化し市況が大きく回復、新日鉄住金の業績も改善した。

今月2日には進藤孝生社長が20年度までの3年間にM&A(合併・買収)などに6千億円を投じると表明。過去3年間の実績をほぼ3倍に引き上げる。欧州アルセロール・ミタルとインドの鉄鋼メーカーの共同買収を検討することも同時に発表した。今回はそれに続く攻めの投資案件だ。

もっとも、トランプ米大統領が鉄鋼輸入制限の発動を決めるなど、世界では保護貿易の動きが再び出始めている。輸出依存の収益構造は簡単には変えられない。技術に磨きをかけながら、環境変化にどう対応するか。経営力が試される。

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