サブマリン牧田、メジャーで存在感放つ幻惑の「遅球」

 

地面すれすれから浮かび上がったボールが、なかなか本塁を通過しない。打者は体勢を崩され、見逃すしかなかった。その球速、54マイル(約87キロ)。スタンドからはどよめきが起こった。

6日(日本時間7日)の大リーグ、パドレス―ロイヤルズのオープン戦での一幕だ。マウンドにいたのは、3番手の牧田和久。今季、西武からパドレスへ移籍した下手投げの右腕は顔色一つ変えず、また緩い変化球を投じた。「自分のような投手がどれだけメジャーで通用するのか。すごく楽しみ」。豪速球時代真っ盛りの大リーグへ、33歳のサブマリンは「遅い球」を武器に海を渡った。

「救援投手=速球投手」のイメージ強い大リーグ

大リーグでは近年、160キロに迫る球を投げる投手は珍しくない。とくに、短いイニングを投げる救援投手は速球で相手をねじ伏せる傾向にある。

大リーグ公式サイトによると、昨季登板した投手のなかで直球の平均球速が最も速かったのはヤンキースのチャプマンで、約160キロ。2位はレッドソックスのケリーで159キロだった。上位の投手は150キロ台後半で、ほとんどが中継ぎか抑え投手だ。

下手投げは米国にもいるが、球は決して遅くない。昨季64試合に投げたオリオールズのオデイの直球は140キロ前後。通算657試合に登板したマーリンズの38歳ジーグラーも、130キロ台中盤の球を操る。

正捕手も「こんな独特な球、見たことない」

牧田の直球は130キロに届くかどうか。だが、本人は「だからこそ、自分のようなタイプの投手は打ちにくいと思う」。速い球に慣れている打者が多いからこそ、遅い球で勝負する。80キロ台のカーブを交えながら、1球ずつ投げるリズムや足の上げ方も工夫することで相手を惑わすのが牧田流だ。正捕手のヘッジスは「直球は浮き上がってくるし、変化球の種類もたくさん。こんな独特な球は見たことがない」と驚く。オープン戦では120キロ台の直球に打者が振り遅れるシーンが何度もあった。

「『遅いのに、何で打てないの?』と思われたい」

高校1年の秋に野球部の顧問の「下から投げてみろ」という一言がきっかけで今の投げ方になった牧田。西武時代は先発、中継ぎ、抑えとフル回転し、7年間で53勝、25セーブをマークした。パドレスでも試合で投げるたびに評価は上がり、米メディアもその独特の軌道を動画や紙面で紹介している。

「『遅いのに、何で打てないの?』と思われる投球をしたい。自信はある」と牧田。エンゼルスに入団した大谷のような160キロ超の球は投げられない。鋭く曲がる変化球で三振を奪うタイプでもない。派手さはないが、日本を代表するサブマリンは夢舞台に向けて着実に歩んでいる。

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